すべての人に間口を開く、鳥海山国際禅堂

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まず座る、座禅体験

 矢島町から子吉川を渡り高台へ向かったところに、鳥海山国際禅堂はある。正面には鳥海山が望め、八月始めの強い日差しの下でも空気には清涼感があり、ひらけた視界も清々しい。禅堂、といういかめしい響きから荘厳な建物を想像していたが、飾り気のないシンプルな建物だった。座禅をするのに装飾は必要ないという事だろうか。
 禅堂への出入り、座禅の組み方など作法の説明を高建寺住職の佐藤成孝(さとうじょうこう)堂長から受け、座禅が始まった。足を半跏趺坐(はんかふざ)に組み、両膝を畳につけながら肩と耳が垂直になるよう背筋を伸ばし、顎を引いて肩から力を抜き45度ほど先に視線を落とす。右手を下に手を組み親指同士の指先をあわせる。この手で形づくられる円形が宇宙を表しているとのこと。
 「頭からの糸が天井から釣り上げられているように上へぐっと突き上げて」
 この姿勢をとろうとすると、下腹に力を入れないと背が丸まってしまう。
 「呼吸を意識して。息を全部はききり、一回一回の呼吸を味わって」
 静かに座る、というだけではなく、案外やることが多い。
 始めた途端、とりとめのない思考が止まらなくなる。(猫背になってた…時間あればスマホいじったりしちゃうもんな…風が気持ちいい…目はつぶらない…アブが飛んでる…遠くで鳥の声がする…背筋を伸ばす…………)
 体をまっすぐにすることを意識したとたん、いろいろな部分が傾いていることに気付かされる。姿勢を維持する事に慣れてきたかな…と思った時、鐘が鳴らされ座禅が終了した。
呼吸を意識したからか、すっきりとした気持ちがする。終わってみれば約20分とのことだったが、もっと早く感じられた。

 坐禅堂では座禅を行うだけではなく、食事や睡眠もとる。歩く時、座るとき、食事の時、24時間すべてを修行と捉えることがお釈迦さまの悟りを再現することに繋がる。坐禅堂は、修行の根本の場所だそうだ。

鳥海山国際禅堂の成り立ち 

 鳥海山国際禅堂は、約750年前に道元禅師が最初に作った坐禅堂の図面を基に建築された。建っている場所は、もとは棚田の休耕田だった土地だそうだ。
 「若い頃にインドでお釈迦さまが六年間修行した洞窟に行きました。そこと標高が同じくらいで、下界の眺めがそっくりなんですよ。鳥海山みたいな高い山はありませんでしたが、田園風景にところどころ森があって。田んぼがずうっと広がって。素晴らしいなと思い、ここに決めました」
 「平成十三年頃から托鉢をはじめました。秋田県内や曹洞宗の寺院から援助をいただいたりしながら五年かけて建てました。お寺には月の半分、後の半分は外へ出向いてご支援いただく、ということを続けておりましたら一人ではなくなるんですね。地元で樹齢100年ほどの杉の木を寄付してくださる方が現れ、使わせていただきました。皆さまの善意とご支援で、この禅堂は建っています」

なぜ建てたか?鳥海山国際禅堂という名へ込めた想い」

 堂長の強い想いから平成十八年七月に建立された鳥海山国際禅堂。
 「イラク戦争や宗教の違いによる民族紛争、そういった問題が世界のあちこちで起きています。世界中が不穏な空気だったのですが、仏教徒・キリスト教徒・ユダヤ教徒・イスラム教徒も、宗教から離れてみんなで一緒に座禅をしようじゃないか。そうすれば、いかに戦争がつまらないかがわかるから。それが理想でした」
 「最初は欧米の人が多かったのですが、ここ2・3年はイスラム系やアジア系、アフガニスタンの方たちが座禅をしてみたいとやってきます。初めの目標に近づいてきた、うれしいなと思います」

 世界が平和になればいいのにと、誰しもが思うだろう。だがそれを実現するために行動できる人はごくわずかだ。話してくださった事以上に苦しい事もあっただろうが、そんな事を感じさせない穏やかな語り口と物腰の方だった。

鳥海山国際禅堂-曹洞宗 高建寺

〒015-0416
秋田県由利本荘市矢島町坂之下字上新田
TEL.0184-56-2193

当禅堂は、現高建寺住職の発願により、5年間に渡る全国勧進托鉢によって集められた浄財で平成18年夏に創建された禅道場です。外国を始め、県内外の参禅者に広く門戸を開いておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。

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